第15回 辻静雄食文化賞(2024年)

第15回辻静雄食文化賞選考委員会(敬称略)

委員長
鹿島茂(フランス文学者、明治大学名誉教授)
委 員
石毛直道(国立民族学博物館名誉教授、文化人類学者)
福岡伸一(青山学院大学教授、分子生物学者)
湯山玲子(著述家、プロデューサー)
辻芳樹(辻調グループ代表、辻調理師専門学校校長)
八木尚子(辻静雄料理教育研究所副所長)

第15回辻静雄食文化賞 専門技術者賞選考委員会(敬称略)

委 員
門上武司(「あまから手帖」編集顧問)
君島佐和子(フードジャーナリスト)
柴田泉(「料理王国」編集長)
戸田顕司(日経ナショナル ジオグラフィック 社長補佐)
長沢美津子(朝日新聞東京本社 くらし報道部記者)
浜田岳文(株式会社アクセス・オール・エリア代表取締役)
林由香(株式会社KADOKAWA海外事業部 海外事業統括部 編集)
山田健(サントリーホールディングス株式会社 サスティナビリティ経営推進本部シニアアドバイザー)
山内秀文(元辻静雄料理教育研究所研究顧問)
八木尚子(辻静雄料理教育研究所副所長)

対象期間

2023年1月~12月 ※人物や団体に関しては、直近5年間

第15回辻静雄食文化賞選考委員会

2024年4月17日(水)ビジョンセンター東京 京橋にて選考委員会を行いました。

第15回辻静雄食文化賞・受賞作品

『風景をつくるごはん―都市と農村の真に幸せな関係とは』真田純子著/農山漁村文化協会刊

作品紹介

景観工学を専門とする著者は、美的分析・評価の観点から農村風景を眺めた時に感じた違和感を出発点に、食べ物を生産する場である農村およびそこに住む人と、消費の場である都市およびそこに住む人の関係を見つめ直す。農村での実践を通してその生業の実態に迫る一方、食をめぐる社会システムの中核をなす農業の課題を明らかにするために、日本とEUの農業政策の比較検討へと考察の範囲を広げていく。農村とその風景を通して、今この社会で食べる私たちに大きな問いを投げかけている。

著者プロフィール
真田純子(さなだ じゅんこ)
東京工業大学環境・社会理工学院教授。専門は景観工学、緑地計画史。
1974年 広島県生まれ。
1996年 東京工業大学在学中にヴルカヌスプログラム(日欧産業協力センター)にてイタリア留学(1年)。
2005年 東京工業大学博士課程修了、博士(工学)取得。
2007年 石積みの風景に出会って石積みを習い始める。
徳島大学助教、東京工業大学准教授を経て、2023年3月より現職。
2013年 石積み技術をもつ人・習いたい人・直してほしい田畑をもつ人のマッチングを目指して「石積み学校」を立ち上げる。
2020年 一般社団法人石積み学校を設立。同法人代表理事に就任。

著書
『都市の緑はどうあるべきか』技報堂出版、2007年
『図解 誰でもできる石積み入門』農山漁村文化協会、2018年

受賞理由
植物や昆虫の美しさに認められるような自然環境に適応して生きる合理性と、最大多数の人間が生きていくための産業構造の合理性は、どうしても抵触する。つまり、自然に根ざしたかつてのような農村風景と、近代的な都市の論理、合理性は衝突せざるを得ない。そのふたつをいかに折り合わせるかと考える時、自然的なものに比重を置いた上で多数の人間が生きていくことを目指す、ヨーロッパ的な観点の導入がありうることを、著者は提案している。食文化と農村風景を結びつけるという新しい視点から、そこに関わる私たちに、環境の保全を追求した風景と食の美しさの可能性を示唆したことは評価に値する。

第15回辻静雄食文化賞 専門技術者賞・受賞者

手島純也(てしま じゅんや)
Cuisine Française Chez Inno シェ・イノ(東京都中央区京橋)料理長

プロフィール
1975年 山梨県甲府市生まれ
1996~1999年 山梨県甲府市、レストラン キャセロール
1999~2002年 山梨県甲府市、カフェ・ド・プレスキュール
2002年 渡仏し、パリのステラマリス、タイユヴァン、ルイ・トレーズ、カンポカフェ等で研鑽を積む
2007年1月 東京 芝パークホテル タテルヨシノ料理長就任
2007年9月~2022年9月  和歌山県 オテル・ド・ヨシノで料理長をつとめる
2022年10月 シェ・イノに料理長として入店。現在に至る

著書
『フランス料理 王道探求』柴田書店、2020年5月刊

受賞歴
2017年 農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞
2021年 農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」シルバー賞受賞
2020年 ガイドブック「ゴ・エ・ミヨ ジャポン」明日のグランシェフ賞受賞
2022年 ガイドブック「ミシュラン 和歌山」1つ星獲得

受賞理由
日本におけるフランス料理の継承者として、フランスで学んだ先行世代が持ち帰った伝統的技術を受け継ぎ、その卓越した技術力で現代に開花させることによって次世代に手渡そうとする強い意思を、高く評価した。店に集う客と調理場とサービスのスタッフの力があいまって、劇場的な非日常空間を生み出すガストロノミーレストランは、フランスの美食文化の精華である。その精神を日本で体現する「シェ・イノ」の一員として、また志を同じくする仲間との活動を通じて、日本のフランス料理に新たな世界を築き上げていくことを期待する。

第15回辻静雄食文化賞贈賞式

2024年8月開催予定