第4回 辻静雄食文化賞(2013年)

第4回辻静雄食文化賞選考委員会(敬称略)

委員長
石毛直道(国立民族学博物館名誉教授)
委 員
鹿島茂(明治大学教授)
阿川佐和子(作家)
福田和也(慶應義塾大学教授)
西山嘉樹(文藝春秋・ライツ管理部部長)
辻芳樹(辻調グループ代表 辻調理師専門学校理事長・校長)
八木尚子(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所 所長)

第4回辻静雄食文化賞 専門技術者賞選考委員会(敬称略)

委 員
門上武司(「あまから手帖」編集顧問)
犬養裕美子(レストランジャーナリスト)
君島佐和子(「料理通信」編集長)
柴田泉(フードジャーナリスト、「月刊専門料理」元編集長)
山内秀文(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所研究顧問)

対象期間

2012年1月~12月

第4回辻静雄食文化賞選考委員会

2013年4月18日(木)東京・丸の内「パレスホテル東京・琥珀宮」にて
本賞の最終選考会および専門技術者賞の審議を行いました

第4回辻静雄食文化賞・受賞作品

NHK「きょうの料理」、NHKテキスト「きょうの料理」

p17作品紹介:
テレビの放送開始は、料理番組の歴史にそのまま重なる。「今晩のおかずをどうするか」という永遠のテーマに寄り添ってきたNHKの「きょうの料理」は、2012年に放送開始55年、テキストが昨年の11月号で通巻600号を迎えた。
放送開始時の目標は「健康な食生活に役立つ」「新しい料理を教える」の二つ。初期の講師陣は江上トミ、飯田深雪、土井勝、小野正吉(ホテルオークラ)、村上信夫(帝国ホテル)、辻嘉一(辻留)、陳建民(赤坂四川飯店)と多彩な顔ぶれで、全国津々浦々に一流の専門家による計量化されたレシピを広める役割を果たした。核家族化で家庭内での料理の伝承が薄れるなか、おせち料理など行事食の情報源ともなった。料理するのは主婦に限らない時代に入り、70年代後半から夜の時間帯の再放送開始、スピードを重視した90年代のヒット企画「20分で晩ごはん」、2000年代には基本を丁寧に教えるビギナーのための番組も別途始めた。

●放送:NHK Eテレ 月~木曜 午後9時~9時25分
(再放送 火~木・翌月曜 午前11時~11時25分)
(再放送 総合 金曜 午前10時15分~10時40分)
●番組制作:株式会社NHKエデュケーショナル、株式会社NHKプラネット 近畿総支社
●テキスト制作:株式会社NHK出版 きょうの料理編集部

p18

NHK公式サイト
NHK出版公式サイト

受賞理由
テレビというメディアとともに半世紀以上の歴史を刻み、番組とテキストを通して料理の情報を発信することによって家庭料理の水準を支えてきた功績を改めて確認し、評価する。料理ジャンルの垣根を超え、世代をつないで伝えられてきた多様な知識と技術は日本の食文化の豊かさの証と言える。明日の日本の食卓を考える上でも貴重な糧となり、大きな可能性を秘めている。

第4回辻静雄食文化賞 専門技術者賞・受賞者

成澤 由浩(なりさわ よしひろ)

p21レストラン「NARISAWA」(東京都港区南青山2-6-15)オーナーシェフ

1969年 愛知県生まれ。
1988年 辻調理師専門学校卒業。
1989年 辻調グループ フランス校(エスコフィエ校)卒業。以後、スイス、フランス、イタリア各地の有名シェフのもとで8年間働く。
1996年 オーナーシェフとして小田原に「ラ・ナプール」をオープン。
2003年 東京・南青山に移転し、「Les Créations de NARISAWA」(レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ)を開店。
2008年 ミシュランガイド東京2008で1つ星獲得。
2009年 イギリスの飲食専門誌「レストランマガジン」が発表する世界のベスト・レストラン50で第 20位。
ミシュラン1つ星継続。世界料理サミット2009に日本代表として出場。
2010年 マドリッドフュージョンにおいて「世界で最も影響力のあるシェフ」に選ばれる。 世界のベスト・レストラン50で第24位、ベスト・オブ・アジアに選出。ミシュランガイド東京、2つ星(以後ミシュランガイド東京・横浜・湘南2013まで2つ星を維持中)。
2011年
「NARISAWSA」に店名を改める。世界のベスト・レストラン50第12位、ベスト・オブ・アジア。
2013年
世界のベスト・レストラン50で第20位、アジアのベスト・レストラン50で第1位。また「ザ・サステイナブル・レストラン・アワード 」を受賞。この賞は「環境への高い配慮と社会的責任」に対するアワードで、「資源」「環境」「社会責任」の3つの基準から評価されるもの。
COOK IT RAWチームの一員。

「NARISAWA」公式サイト

受賞理由
世界のガストロノミーと常に深いかかわりをもち、その大きな潮流の中で徹底的に自分の料理を考え抜く姿勢は見事で、日本の食材を使い、日本人ならではの、日本でしか成立しない料理を実現していることを高く評価したい。社会と積極的にかかわりながら、料理とレストランという空間を通して独自の世界観を表現する成澤シェフの姿は後進に与える影響力も多大である。

第4回辻静雄食文化賞贈賞式

2013年5月30日(木)東京・代官山蔦屋書店「ラウンジAnjin」にて
第4回辻静雄食文化賞の贈賞式が5月30日に開催されました。当日は、受賞作の制作班を代表して、NHKエデュケーショナル「きょうの料理」シニアプロデューサーの大野敏明様、 NHK出版「きょうの料理」編集長の湯原一憲様、また専門技術者賞受賞の成澤由浩様にご出席いただきました。 選考委員会からは、石毛直道様、福田和也様、西山嘉樹様。専門技術者賞選考委員会の委員である門上武司様、犬養裕美子様、柴田泉様にご出席いただきました。

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会場には、「きょうの料理」の貴重なバックナンバーや、初めてスタジオで調理を行った料理である「かきのカレーライス」(昭和32年放送)を再現したものを展示。また「きょうの料理」放映初期の貴重な映像や、レストラン「NARISAWA」の世界観と成澤シェフの料理を紹介する映像が披露されました。さらに、本年度は辻静雄生誕80周年にあたることから、同じく会場のスクリーンで、辻静雄の業績をたどる映像を、お集まりいただいた皆様にご覧頂きました。

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第4回辻静雄食文化賞記念ブックフェア

第4回食文化賞は、辻静雄生誕80周年という節目の年にあたります。贈賞式の会場となった蔦屋書店の料理書コーナーでは、記念のブックフェアが開催されました(期間:2013年5月14日~6月14日)。これまでの受賞作や受賞者の著作と、辻調グループの書籍が展示販売されています。

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