第8回 辻静雄食文化賞(2017年)

第8回辻静雄食文化賞選考委員会(敬称略)

委員長
石毛直道(国立民族学博物館名誉教授)
委 員
鹿島茂(明治大学教授)
阿川佐和子(作家)
福田和也(慶應義塾大学教授)
西山嘉樹(元文藝春秋編集者)
辻芳樹(辻調グループ代表 学校法人辻料理学館理事長 辻調理師専門学校校長)
八木尚子(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所所長)

第8回辻静雄食文化賞 小委員会(敬称略)

委 員
犬養裕美子(レストランジャーナリスト)
門上武司(「あまから手帖」編集顧問)
君島佐和子(「料理通信」編集長)
柴田泉(フードジャーナリスト)
戸田顕司(日経BP社 ビジネスメディア編集部長)
長沢美津子(朝日新聞東京本社 文化くらし報道部 次長)
西山嘉樹(元文藝春秋編集者)
山田健(サントリーホールディングス株式会社 CSR 推進部チーフスペシャリスト兼サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社 水科学研究所主席研究員)
淀野晃一(「月刊専門料理」編集長)
山内秀文(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所研究顧問)
八木尚子(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所所長)

対象期間

2016年1月~12月

第8回辻静雄食文化賞選考委員会

2017年5月10日(水)「東京アメリカンクラブ」にて選考委員会を行いました。

第8回辻静雄食文化賞・受賞作品

sakana&nihonjin-v220『魚と日本人-食と職の経済学』
濱田 武士(はまだ たけし)/著 岩波書店/刊

作品紹介:日本特有の食文化を構成する重要な要素のひとつである魚食文化が、今、危機に瀕し、それを支えてきた漁業や卸し、仲卸しなどの流通機構も衰退へと向かっている。魚食をめぐる問題を、魚を獲るところから食べるところまでの各過程に関わる職業から考察し、衰退の元にある問題を的確に指摘して警鐘を鳴らしている。

著者紹介 濱田 武士
北海学園大学教授、博士(水産学)。
大阪府生まれ。
1993年、北海道大学水産学部漁業学科卒業。
1999年、北海道大学大学院水産学研究科博士後期課程修了。
著書に『弁甲材の経済と産業システム』(日南地区木材協会、2009年)、『伝統的和船の経済―地域漁業を支えた「技」と「商」の歴史的考察』(農林統計出版、2010 年)、『漁業と震災』(みすず書房、2013 年)、『日本漁業の真実』(筑摩書房、2014 年)、共著書に『福島に農林漁業を取り戻す』(み
すず書房、2015 年)。
[受賞歴]
日本水産工学会 奨励賞『ホタテガイ養殖業における省力化技術の適応に関する研究』(2001年)
漁業経済学会 奨励賞『伝統的和船の経済 -地域漁業を支えた「技」と「商」の歴史的考察-』(2011年)
漁業経済学会 学会賞『漁業と震災』(2013年)
日本協同組合学会 学術賞『漁業と震災』(2013年)
日本協同組合学会 学術賞(共同研究)『福島に農林漁業をとり戻す』(2016年)
水産ジャーナリストの会 大賞『魚と日本人-食と職の経済学』(2017年)

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受賞理由
日本の魚食文化の変化を、漁獲から消費までのさまざまな過程に関わる「職」の視点から的確にとらえて課題を提示し、魚食を考える基礎文献として優れている。さらに現代の流通構造全般の根源的な問題を浮き彫りにした功績も高く評価される。

第8回辻静雄食文化賞 専門技術者賞・受賞者

中道 博(なかみち ひろし)
「モリエール」(札幌市中央区宮ヶ丘2丁目1-1 ラファイエット宮ヶ丘1F)オーナーシェフ

プロフィールnakamichi_03_mono-v260
1951年北海道生まれ。
調理師学校を卒業した後、日本とフランスのレストランで経験を積む。
1982年には世界料理コンクールに日本代表として出場し、金賞、特別賞を受賞。
1984年、札幌に「モリエール」を開店。その後、「マッカリーナ」、「ランファン・キ・レーヴ」、「アスペルジュ」、「ビ・ブレ」などのレストランを開店。また、北海道洞爺湖サミットにて料理を提供し、フォーシーズンズホテル丸の内のレストラン「モティーフ」で料理アドバイザーを務めるなど、幅広く活動する。
2011年 北海道の食の活性化への功績が認められ、農林水産省の「料理マスターズ」受賞。
2017年現在、ミシュランガイドで「モリエール」が三ツ星、「ランファン・キ・レーヴ」、「アスペルジュ」、「ビ・ブレ」が一ツ星。

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受賞理由
卓越したバランス感覚で多様な業態の経営を成功させ、地方における料理人とレストランのあり方のモデルを確立した。古びることなく、時流にながされることもなく真摯に素材と料理に向きあう姿勢は、地域の精神的支柱として、若い料理人の指標となっている。

第8回辻静雄食文化賞贈賞式

第8回辻静雄食文化賞の贈賞式が東京「明治記念館 相生の間」にて、2017年7月5日(水)に開催されました。

受賞作『魚と日本人―食と職の経済学』著者の濱田武士氏、専門技術者賞受賞者の「モリエール」オーナーシェフ、中道博氏が式に臨まれました。濱田氏には、昨年、辻静雄食文化賞を受賞された井信行氏から、中道氏には、第6回に同じく専門技術者賞を受賞された「龍吟」の山本征治氏から贈賞が行われました。

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第3回専門技術者賞を受賞された谷昇氏の御発声で乾杯が行われ、歴代受賞者の皆様やご参列の皆様の間でにぎやかな交流が行われました。

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会場では受賞作・受賞者のパネルが展示され、これまでの受賞作や受賞者、辻静雄の著作も紹介されました。

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