第5回 辻静雄食文化賞(2014年)

第5回辻静雄食文化賞選考委員会(敬称略)

委員長
石毛直道(国立民族学博物館名誉教授)
委 員
鹿島茂(明治大学教授)
阿川佐和子(作家)
福田和也(慶應義塾大学教授)
西山嘉樹(文藝春秋)
辻芳樹(辻調グループ代表 辻調理師専門学校理事長・校長)
八木尚子(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所 所長)

第5回辻静雄食文化賞 専門技術者賞選考委員会(敬称略)

委 員
門上武司(「あまから手帖」編集顧問)
犬養裕美子(レストランジャーナリスト)
君島佐和子(「料理通信」編集長)
柴田泉(フードジャーナリスト)
山内秀文(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所研究顧問)

対象期間

2013年1月~12月

第5回辻静雄食文化賞選考委員会

2014年4月16日(水)東京「URAKU青山」にて
本賞の最終選考会および専門技術者賞の審議を行いました。

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第5回辻静雄食文化賞・受賞作品

『食と建築土木』
(後藤治、二村悟・著/小野吉彦・写真/LIXIL出版・刊)

prize05_01_p01作品紹介:
農山漁村の風景の一部となってきた、食べものの生産・加工のために用いられる建造物に着目。柿を干す柿屋や大根櫓など自然の力を利用した「しかけ」を通じて地域の暮らしの知恵や風土が見えてくる。小野吉彦氏による写真は、風や潮の香り、陽射しのぬくもりを感じさせる。

著者:
後藤 治(ごとう おさむ)
1960年東京都生まれ。工学院大学建築学部教授。文化庁文化財保護部建造物課文化財調査官であった経験から歴史的な建築物や町並の保存・活用に力を注ぐ。単著『建築学の基礎6日本建築史』(共立出版)、『四国の住まい』(LIXIL出版)、共著『それでも、「木密」に住み続けたい! 』(彰国社)、『都市の記憶を失う前に』(白揚社新書)、『図説日本の近代化遺産』(河出書房新社)、『日本の建築空間』(新建築2005年11月臨時増刊)など。

二村 悟(にむら さとる)
1972年静岡県生まれ。工学院大学建築学部客員研究員、ICSカレッジオブアーツ非常勤講師ほか。単著『静岡茶の発展と建築・文化の近代化』(静岡県立大学)、共著『日本の美術 近代化遺産交通編』(ぎょうせい)、『図説 台湾都市物語』(河出書房新社)など。

小野 吉彦(おの よしひこ)
1967年愛媛県生まれ。写真家。(公社)日本写真家協会会員。文化財建造物撮影を中心に活動。共著『お屋敷散歩』『図説 日本の近代化遺産』『学び舎拝見』『お屋敷拝見』(河出書房新社)など。
LIXIL出版公式サイト

受賞理由
農山漁村における食べものを作るための仮設の構造物を、建築土木の見地から丹念に調査し、風景とともに写真におさめ、記録した労作。自然と食の密接な関係、積み重ねられた創意工夫についての新鮮な発見があり、改めて現代の「食」を考えさせる。

『ある精肉店のはなし』
(監督 纐纈あや/プロデューサー 本橋成一/製作・配給 やしほ映画社、
ポレポレタイムス社)

prize05_02_p01_01作品紹介:
2012年に102年の歴史に幕をおろした大阪貝塚市の小規模な屠場を最後まで利用していた北出精肉店の記録。一家の仕事は、牛を飼うところから始まり、屠り、食肉として販売することで完結する。日々の暮らしと仕事を通じて、生命を食べることの本質を静かに問う作品。

監督:
纐纈 あや(はなぶさ あや)
1974年東京生まれ。自由学園卒業。2001年ポレポレタイムス社に入社。本橋成一監督の『アレクセイと泉』(02年)『ナミイと唄えば』(06年)の映画製作に携わる。2010年に上関原子力発電所に反対し続ける島民の暮らしを映し取った映画『祝の島』を初監督。シチリア環境映画祭で最優秀賞受賞。本作が監督2作目。

プロデューサー:
本橋 成一(もとはし せいいち)
1940年東京・東中野生まれ。写真家、映画監督。68年『炭鉱<ヤマ>』で太陽賞受賞。98年チェルノブイリ原発と汚染地で暮らす人々を撮影した『ナージャの村』で土門拳賞受賞。同名のドキュメンタリー映画と2作目『アレクセイと泉』は海外でも高い評価を受ける。その他の映画作品に『ナミイと唄えば』『バオバブの記憶』がある。

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映画サイト

受賞理由
牛の飼育、屠畜も行う精肉店を営む一家の真摯な仕事ぶりに、誠実に向き合った極めて上質なドキュメンタリー作品。地域の社会史の記録としても、また食の分野の工業化が進む中で、職人技を記録にとどめるという意味でも、大きな価値がある。

第5回辻静雄食文化賞 専門技術者賞・受賞者

穴見 秀生(あなみ ひでお)

prize05_03_p01「本湖月」(大阪市中央区道頓堀1丁目7-11)主人・料理長。

●穴見秀生氏略歴
1949年福岡県生まれ。大阪の日本料理店で修業後、1969年に渡仏。
パリでJALの機内食を作る仕事に就く。
1973年 帰国。吉兆に入店
1979年 法善寺横町・湖月料理長となる
1993年 湖月を買い取り、営業を始める
1994年 新装開店、屋号を本湖月とする
2002年9月 法善寺横町の火事で被災
2003年7月 再建、再開
2009年『ミシュランガイド京都 大阪2010』で二つ星獲得。以後『ミシュランガイド関西2014』まで二つ星継続中
2012年 第3回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」受賞

受賞理由
高度な技術に裏打ちされた妥協のない仕事により、類稀な洗練された料理を作り上げ、年を重ね、季節を重ねるたびに更新し続けている。いろどりも、味も、盛り付けも、すべての無駄をそぎ落とし、緻密に構築されたその料理は、ミニマリズムに通じる美をたたえている。

石原 仁司(いしはら ひとし)

prize05_04_p01「未在」(京都市東山区八坂鳥居前東入ル円山町613 円山公園内)主人・料理長。

●石原仁司氏略歴
1952年 島根県生まれ
1968年 大阪高麗橋吉兆本店に入店・故湯木貞一氏に師事
1972年 京都吉兆本店に移る
1979年 京都吉兆本店料理長に就任
1992年 京都吉兆総料理長に就任
1998年 雲仙半水盧料理長となる
2004年 京都東山の円山公園に未在を開く
2009年 『ミシュランガイド京都 大阪2010』で三つ星獲得。以後『ミシュランガイド関西2014』まで三つ星継続中
2012年 同じ円山公園内の現在の場所に移転

著書:『未在 石原仁司の茶懐石 』石原仁司 著/永末書店 /2011年

「未在」公式サイト

受賞理由
吉兆の湯木貞一の華のある料理と粋を継承、保持しながらも、京都にあって自らの表現の世界を築き上げている。カウンターを舞台に、料亭料理が本質的に持つ総合芸術としての技術、味覚、美意識を実現させたもてなしは、あでやかなダイナミズムを感じさせる。

第5回辻静雄食文化賞贈賞式

第5回辻静雄食文化賞の贈賞式が東京「明治記念館 鶴亀の間」にて2014年6月3日(火)に開催されました。
当日は、受賞作「ある精肉店のはなし」の製作班を代表して纐纈あや監督、「食と建築土木」の後藤治様、二村悟様、小野吉彦様、また専門技術者賞を受賞された穴見秀生様が式に臨まれ、受賞の言葉を述べられました。また、ご都合により欠席された専門技術者賞受賞者の石原仁司様からは、メッセージをいただきました。加えて、「ある精肉店のはなし」出演者の北出新司様・静子様ご夫妻をはじめ、両受賞作品の関係者の皆様に大勢ご出席いただき、盛会となりました。

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また、会場には、受賞作や受賞者を紹介するパネルが展示されました。

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