第13回 辻静雄食文化賞(2022年)

第13回辻静雄食文化賞選考委員会(敬称略)

委員長
石毛直道(国立民族学博物館名誉教授、文化人類学者)
委 員
鹿島茂(フランス文学者)
湯山玲子(著述家、プロデューサー)
福岡伸一(青山学院大学教授、分子生物学者)
辻芳樹(辻調グループ代表 学校法人辻料理学館理事長 辻調理師専門学校校長)
八木尚子(辻静雄料理教育研究所副所長)

第13回辻静雄食文化賞 専門技術者賞選考委員会(敬称略)

委 員
犬養裕美子(レストランジャーナリスト)
門上武司(「あまから手帖」編集顧問)
君島佐和子(フードジャーナリスト)
柴田泉(フードジャーナリスト)
戸田顕司(日経ナショナル ジオグラフィック 社長補佐)
長沢美津子(朝日新聞編集委員)
林由香(株式会社KADOKAWA 海外事業局 海外事業統括部 編集)
山田健(サントリーホールディングス株式会社 サスティナビリティ経営推進本部チーフスペシャリスト)
淀野晃一(「月刊専門料理」編集長)
山内秀文(元辻静雄料理教育研究所研究顧問)
八木尚子(辻静雄料理教育研究所副所長)

対象期間

2021年1月~12月 ※人物や団体に関しては、直近5年間

第13回辻静雄食文化賞・受賞作品

『中国料理の世界史―美食のナショナリズムをこえて』
岩間一弘/著 慶應義塾大学出版会/刊

作品紹介
近現代の政治、経済、社会のうねりが中国の料理をいかに変化させたか、また国と国や地域の関係とそれに伴う人の移動を通して、中国料理がいかに世界に広まっていったかを総合的に叙述した作品。扱う地域は、シンガポール、マレーシア、ベトナム、韓国、インド、日本などアジア各国から、アメリカ、イギリス、フランスなど欧米各国、ペルー、ブラジルなど南米、オーストラリアまで広範囲に及ぶ。

著者紹介
慶應義塾大学文学部教授。専門は東アジア近現代史、食の文化交流史、中国都市史。
1972年生まれ
1995年      慶應義塾大学文学部、史学科卒業
1998年      慶應義塾大学大学院文学研究科、史学専攻修士課程修了
2003年      東京大学大学院総合文化研究科、地域文化研究専攻博士課程修了 博士(学術)
2006~2012年 千葉商科大学商経学部、助教授/准教授
2012~2015年 千葉商科大学商経学部教授
2015年~       慶應義塾大学文学部教授

主な著書
『中国料理と近現代日本―食と嗜好の文化交流史』(編著書、慶應義塾大学出版会、2019年)
『上海大衆の誕生と変貌―近代新中間層の消費・動員・イベント』(東京大学出版会、2012年)

受賞理由
中国と世界の様々な場所を大きな視点でとらえ、近現代の中国における料理の変化とその世界的広まりを一望した野心的大作で、類書がない。中国語、英語、韓国語の近年の文献にも幅広く目配りしており、今後のこの分野の研究の進展への期待を抱かせる。

『全集 伝え継ぐ 日本の家庭料理』(全16巻)
一般社団法人 日本調理科学会企画・編集/農山漁村文化協会刊

作品紹介
「100年先もふるさとの味が残ってほしい」という思いから、2012年以降、日本調理科学会は家庭料理の全国的聞き書き調査を実施してきた。その研究の成果の中から、1960~70年代までに地域に定着していた家庭料理で、次世代にも作ってほしいと思う約1900品を選んだ。それらを「すし」「野菜のおかず」「行事食」など16のテーマに分け、実際に再現可能なレシピの形で収録したのが、カラービジュアル版の本シリーズである。

「一般社団法人日本調理科学会」とは
人間の生活に深く関わる調理の科学的、文化的研究を行う学術団体。調理科学に携わる研究者のほか、関連分野の研究者、教育者、技術者が参加し、調理に関する科学的研究の推進とその知識・技術の普及を目的に活動している。現在の会員数は約1300名となっており、毎年、研究発表の年次大会、代議員総会、講演会などを開催し、著作活動も行っている。
1968年 調理科学研究会が発足
1985年 研究発表大会を行う学会として日本調理科学会に改称
2011年 法人化し、一般社団法人日本調理科学会となる

受賞理由
このまま誰も記録しなければ失われてしまうものを残そうという、強い使命感に支えられた、大変貴重な仕事である。地方まで画一化が進む今日、食に見られる多様性を読者に訴えかけ、それを大切にしたいと感じさせる力を持つ、質の高い本づくりも評価したい。

第13回辻静雄食文化賞 専門技術者賞・受賞者

リオネル・ベカ(Lionel Beccat)
「エスキス」エグゼクティブシェフ

プロフィール
1976年、フランスのコルシカ島生まれ。マルセイユで育つ。
20歳を過ぎて料理の世界に入り、ミッシェル・トロワグロのブラッスリー「ル・サントラル」、「ギィ・ラソゼ」、「ペトロシアン」で経験を積む。
2002年からロアンヌの3つ星レストラン「メゾン・トロワグロ」でスーシェフをつとめる。
2006年、東京の「キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ」の開業時から5年半エグゼクティブシェフをつとめる。
2011年、フランスの農事功労章シュヴァリエ受勲。
2012年、エスキスの開店とともにエグゼクティブシェフに就任。同店は2013年以降、ミシュランガイド東京で2つ星を獲得。
2018年、ゴ・エ・ミヨ ジャポンの「今年のシェフ賞」受賞。
2019年9月13日-12月22日 ESPACE KUUにて写真展「TRANSVERSALITÉ 生命縦断」を開催。
2021年12月3日、書籍『エスキスの料理―インスピレーションから創造する料理の考え方』(誠文堂新光社)を発刊。

受賞理由
異なる文化の中に身を置いて、様々な食材や技法、人々と出会い、学び続けることを通して触発された思索と、高度な技術が生んだその優しい料理は、食べる人の心に響く。文化としてのガストロノミーの現代的洗練を体現するその仕事を、高く評価したい。