第9回辻静雄食文化賞選考委員会(敬称略)
- 委員長
- 石毛直道(国立民族学博物館名誉教授、文化人類学者)
- 委 員
- 鹿島茂(明治大学教授、フランス文学者)
- 湯山玲子(著述家、プロデューサー)
- 福岡伸一(青山学院大学教授、分子生物学者)
- 西山嘉樹(元文藝春秋編集者)
- 辻芳樹(辻調グループ代表 学校法人辻料理学館理事長 辻調理師専門学校校長)
- 八木尚子(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所副所長)
第9回辻静雄食文化賞 小委員会(敬称略)
- 委 員
- 犬養裕美子(レストランジャーナリスト)
- 門上武司(「あまから手帖」編集顧問)
- 君島佐和子(「料理通信」編集主幹)
- 柴田泉(フードジャーナリスト)
- 戸田顕司(日経BP社 ビジネスメディア編集部長)
- 長沢美津子(朝日新聞編集委員)
- 西山嘉樹(元文藝春秋編集者)
- 山田健(サントリーホールディングス株式会社 CSR 推進部チーフスペシャリスト兼サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社 水科学研究所主席研究員)
- 淀野晃一(「月刊専門料理」編集長)
- 山内秀文(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所研究顧問)
- 八木尚子(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所副所長)
対象期間
2017年1月~12月
第9回辻静雄食文化賞選考委員会
2018年4月26日(木)「コンフォート銀座中央通り」にて選考委員会を行いました。
第9回辻静雄食文化賞・受賞作品
『珈琲の世界史』
旦部 幸博/著 講談社/刊
作品紹介:コーヒーの起源から世界各地への伝播、商品としての重要性や現在の状況に至るまで、綿密な文献の調査を通じて、コーヒーの辿った歴史を網羅的にわかりやすくまとめている。また、随所にはさみ込まれた逸話にも著者の博識が生かされており、読んで楽しめる作品になっている。
著者紹介 旦部 幸博(たんべ ゆきひろ)
1969年、長崎県生まれ。京都大学大学院薬学研究科修了後、博士課程在籍中に滋賀医科大学助手へ。現在、同大学講師。医学博士。専門は、がんに関する遺伝子学、微生物学。
コーヒーに興味を持ったのをきっかけに飲食物や、味と匂いに関する知識なども幅広く修め、自家焙煎店や企業向けのセミナーで、コーヒーの香味や健康に関する講師を務める。人気コーヒーサイト「百珈苑」主宰。著書に『コーヒーの科学』(講談社ブルーバックス)、『コーヒー おいしさの方程式』(共著、 NHK出版)がある。
- 受賞理由
- 商品作物としてのコーヒーノキの伝播と消費国におけるコーヒー飲用の歴史を、世界的規模で通観した力作。文献渉猟により導きだした精緻な歴史的考察は説得力があり、嗜好品の枠にとどまらず食文化研究の優れた業績として、長く参照される基礎文献となるだろう。
第9回辻静雄食文化賞 専門技術者賞・受賞者
杉野 英実(すぎの ひでみ)
「HIDEMI SUGINO」(東京都中央区京橋3-6-17 京橋大栄ビル1F)オーナーシェフ
プロフィール
1953年、三重県生まれ。
1973年、ホテルオークラ東京の製菓部に入社。
1979年、渡欧。フランスやスイスのホテル・レストランや、パリでは「ジャン・ミエ」「モデュイ」「ペルティエ」と名店で修行を積む。
1982年、帰国。名古屋「パティスリー・ポン・デザール」のシェフに就任。
1986年、代官山「ピエール・ドール」のシェフに就任。
1989年、『マルシェからの菓子』(中央公論社)を刊行。
1991年、パティシエの世界大会クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーに日本チームリーダーとして参加。日本チームを優勝に導く。
1992年、神戸・北野に「パチシエ イデミ スギノ」を開店。
1998年、『素材より素材らしく』(柴田書店)を刊行。
1999年、『素材より素材らしく』が世界料理書フェア・日本語部門にて最優秀賞を受賞。
2000年、日本人初のルレ・デセールの会員となる。
2002年、東京・京橋に「イデミ スギノ」を開店。
2003年、『杉野英実のデザートブック』(柴田書店)を刊行。
2013年、『シンプルでも素材らしく』(柴田書店)を刊行。
2015年、ルレ・デセールを後進へ引継ぐ為、退会。
2015年、「アジアのベストレストラン50」でアジアベストペイストリーシェフ賞を受賞。
2017年、『進化する菓子~TASTE IN PROGRESS~』(柴田書店)を刊行。
2018年、グルマンクックブックアワード審査員特別賞を受賞。
写真提供/柴田書店
- 受賞理由
- 精緻な製菓技術を追究するとともに自らの味覚をたゆみなく磨き続け、菓子作りを通して世界に通用する高度なオリジナリティを発揮している。経験を重ねた今もなお、伝統の継承を超えた新しい菓子の創造に日々邁進する姿は、続く世代の模範と言える。
第9回辻静雄食文化賞贈賞式
第9回辻静雄食文化賞の贈賞式が東京「八芳園 サクレ」にて、2018年7月13日(金)に開催されました。
受賞作『珈琲の世界史』著者の旦部幸博氏、専門技術者賞受賞者の「HIDEMI SUGINO」のオーナーシェフ、杉野英実氏が式に臨まれました。
旦部氏には、第3回辻静雄食文化賞受賞作著者の田口護氏から、杉野氏には、同じく第3回に専門技術者賞を受賞された谷昇氏から贈賞が行われました。
第6回専門技術者賞を受賞された山本征治氏のご発声で乾杯が行われました。
これまでの受賞者の皆様にも多数ご出席いただき、ご参列の皆様もともに、にぎやかに歓談されました。
会場では本年度の受賞作、受賞者を紹介するパネルや、旦部氏、杉野氏の著書が展示され、また、これまでの受賞作や受賞者、辻静雄の著作も紹介されました。